Introduction

1.プローブってなに?

プローブとは、移動体に計測器を持たせて、移動体そのものやその周辺の状況を観測・分析・推定する技術の総称です。

例えば、こんなもの。

  • スマホやケータイで、子どもの居場所をいつでも確認(防犯対策)
  • ドライブレコーダーで、運転中の前方を映像で記録(事故対策)
  • 野生動物にGPS発信器をつけて、居場所を追跡(生態把握)

これらは、人、車、動物(移動体)に計測器をつけて、日々の動きを計測しています。探せば他にもいろいろとありそうですね。

ところで、移動体を観測するものの中に、こんなものもあります。

  • 商品にICタグをつけて、商品の流通状況を確認する(RFID)
  • 道路上に設置したセンサーで車両の動きを検知して、カーナビへ渋滞情報を発信(VICS)
  • 監視カメラを街中に設置して、不審人物の発見(CCTV)

これらは、移動体の状況を観測するという意味ではプローブと同じですが、移動体であるタグや車両、不審人物そのものには計測機能が備わっていないのでプローブとは言えません。

似たようなものに、こんなものがあります。

  • 車両にETC車載器をつけて、高速道路の料金を自動で徴収する(ETC)

ETCについては、ETC車載器そのものには計測機能はありませんが、カーナビと連動させて使用するETC2.0(DSRC車載器)には計測機能が備わっていて、プローブ技術がフル活用されています。

以上のように、プローブ技術はパーソナルユースから社会インフラに至るまで、幅広い分野で使われています。

まとめ

プローブは、移動体の動きを計測する技術で、幅広い分野で使われている。
移動体に計測機能を持たせずに計測するものは、プローブとは言わない。

2.プローブって何を計測しているの?

プローブは、時間情報と位置情報を一定の間隔で計測しています。時間情報とはズバリ「時刻」、位置情報は「緯度と経度」で、場合によっては高度も含まれます。

時間と位置。この2つの情報を一定の間隔(時間または距離)で記録されたデータをプローブ情報(あるいはプローブデータ)と呼んでいます。プローブ情報を記録できる計測器をプローブ機器と呼んでいます。

プローブ情報には、速度、加速度、方位、角速度、回転角、気圧、放射線量、写真、操作ログなど、目的や用途に合わせて計測する情報が付加される場合があります。ひとつのプローブ機器で必要な情報のすべてを計測できない場合は、複数のプローブ機器を組み合わせて計測しています。

まとめ

時刻と位置を一定の間隔で記録したデータをプローブ情報と言う。
プローブ情報を記録する計測器をプローブ機器と言う。
目的に応じて時刻と位置情報以外の情報を計測する場合がある。

3.プローブって何に使われているの?

プローブ技術は、「人」と「車」の動きを計測する分野において主に活用されています。その他にも、航空機、船舶、動物、戦闘兵器など、さまざまな移動体の分析にプローブ技術が使われています。ここでは最も身近な「人」と「車」について説明してみます。

(1)人の行動を観測・分析する ― プローブパーソン

おそらく、プローブパーソンのルーツは、歩数計なのではないでしょうか。歩数計で毎日の歩数を計測して日々の消費カロリーを計算する・・・。この計算、単純な作業だけに、毎日続けるにはちょっとツライ。そこで、計測器をつけるだけで、自動的に消費カロリーを計算し、歩数や距離、経路、撮った写真、買ったもの、見たものなどを、デジタルなダイアリーとして保存できれば―――といった経緯をたどって開発されたのが、プローブパーソンの技術です。

最近では、健康管理や日記のようなパーソナルユースな活用から、子どもや高齢者の見守り、顧客の購買行動分析、まちづくりや災害避難計画、防犯対策、犯罪捜査など、ビジネスユースからパブリックユースまで、幅広く活用されています。

(2)道路の状況を観測する ― プローブカー

プローブという言葉が初めて使われたのは、プローブパーソン(人)ではなく、プローブカー(車)でした。プローブカーは車の移動状況を計測します。そこで得られたプローブ情報は、車そのものの性能や状態を計測するだけでなく、その車が走行した道路の交通状況、路面状態などといった周辺状況の分析にも使われています。

身近な例としては、大手自動車メーカー各社がユーザーへのサービスとしておこなっている「プローブ情報サービス」があります。また、バス、タクシー、貨物などの運送業界では、自社車両にGPS受信機と通信ユニットを搭載して、日々の運行管理や配車管理、社員への運転教育などに活用しています。公的な分野では、国土交通省による道路計画、新設道路の成果検証、ETC2.0の推進事業などでプローブ技術がその威力を発揮しています。

まとめ

プローブ技術は、人や車の行動の観測に使われている。
プローブ技術で人の行動の観測することをプローブパーソンと言う。
車の移動を観測することをプローブカーと言う。
ビジネスやパブリックなシーンで幅広く使われている。

3.プローブ情報は社会資源

上記のとおり、プローブ情報はビジネスユース、パブリックユースなど広い分野で活用されています。

ビジネスシーンでは、IT系やモバイル系の企業が、たくさんのスマートフォン利用者のプローブ情報を活用してユーザーへのサービスを充実させています。パブリックなシーンでは、国土交通省がITS推進のための基礎的なデータとしてプローブ情報を集めています。このように、ビッグデータを構成するデータの一部として活用されているプローブ情報は、すでに社会的資源になっています。

また、データの中から個人情報を除外して、他事業者へ販売する取り引きが始まるなど、プローブ情報の経済的な価値も見い出されています。さらに、情報元である個人ユーザーが自らデータを管理し販売できる仕組みづくりも始まっています。本サイトでは、そんな未来を見据えながら、個人がデータを集めるための基礎的な方法、事業者が欲しがりそうなデータの整理方法など、プローブ情報のベーシックなケーススタディを掲載していきます。


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